インテリジェンス都市・江戸 江戸幕府の政治と情報システム

インテリジェンスを制する者が国を治める。徳川260年の泰平も崩壊も極秘情報をめぐる暗闘の成れの果て。将軍直属の密偵・御庭番、天皇を見張る横目、実は経済スパイだった同心──近世政治史の泰斗が貴重な「隠密報告書」から幕府情報戦略の実相を解き明かす。

――目次から―― 【序章】 幕藩体制の核心はインテリジェンスだった! ――情報と江戸時代の政治・交通 (1情報の江戸集中 (2全国に展開する幕府の出先機関 (3参勤交代制度と江戸藩邸 学者藩士/『元禄世間咄風聞集』『よしの冊子』から (4全国的な交通網 (5江戸幕府の情報収集組織 【第一章】 将軍直属の「スパイ」がいた! ――御庭番の情報収集と幕府政治 (1)御庭番とは 吉宗が創設した情報システム/将軍直属の隠密 (2)三方領知替の撤回と御庭番 大名の反発と庄内領民の反対運動/水野忠邦の激烈な反対 (3)新潟湊上知と御庭番・小人目付情報 【第二章】 大名と幕臣を監察する将軍の「目」――小人目付の情報収集と幕政 (1)徒目付・小人目付とは目付 (2)政策の影響に関する情報収集 米価の引上げ策/市中の金融状況の調査 (3)幕臣の素行・身辺調査 吉原通い、家庭内暴力、馬道楽――なまなましい風聞書 【第三章】 「探検家」の真の任務とは?――勘定所普請役の情報収集 (1)普請役の隠密探索 蝦夷地調査と普請役/最上徳内、間宮林蔵の活躍 (2)幕末の普請役の情報探索活動 対外的危機の深刻化と蝦夷地/嘉永元年普請役の松前藩隠密探索/ 藩主の発病と家政の混乱/松前藩の海岸防備の実態/異国船渡来激増事情の探索 【第四章】 犯罪捜査と経済調査のエキスパート――町奉行所隠密廻り同心の情報収集 (1)町奉行所の同心 三廻り同心/隠密廻り同心の犯罪者逮捕 (2)町奉行の都市政策と隠密廻り同心の情報探索 隠密廻り同心の景況探索/町奉行の政策転換の提言 (3)老中の都市政策と情報 老中水野忠邦の遠山景元(金四郎)批判/水野の報復 【第五章】 異国船とアヘン戦争、鎖国下の情報戦――オランダ風説書と対外政策 (1)異国船打払令の発令と情報 オランダの苦境とイギリスの進出/イギリス・アメリカの捕鯨船 (2)異国船打払令の撤回とオランダ情報 アヘン戦争と別段風説書/天保一三年の秘密情報 (3)漏れる情報と隠される情報 オランダ通詞により隠された情報――イギリスの出島乗っ取り未遂事件 【第六章】 「敗戦」という不都合な事実の拡散――文化露寇事件の情報と政治 (1)文化露寇事件とは 早馬による情報伝達/ロシア軍艦による北方攻撃の続発 (2)文化露寇事件の情報 荒唐無稽な情報の流布/幕府批判と御威光の失墜 (3)情報の開示と統制 情報の一部開示と雑説禁止令/実情把握のため若年寄らを蝦夷地派遣 (4)ロシアの真意をつかむ情報収集 オランダ商館長に照会/解放された番人らの情報 【終章】 インテリジェンスの大失策が幕府の命取りに! ――天皇・朝廷情報の収集 (1)横目付の情報収集 (2)京都町奉行所の情報収集 (3)情報収集・分析の誤りと幕府の敗北 日米修好通商条約勅許問題/天皇の政治的利用/幕府の楽観論/ 天皇・公家の条約反対論/通商条約反対の公家一揆

暂无相关内容，正在全力查找中

暂无其它内容！

暂时还没有人为这本书评论！