日本名詩選1

何度でも出会いたい日本の名詩。時代順にならべ鑑賞と注釈を添えた近現代詩入門。明治15年『新体詩抄』の刊行の際、「明治ノ歌ハ明治ノ歌ナルベシ、古歌ナルベカラズ」と宣言した新詩形がはじまる。西欧詩と日本古来の詞華の世界が融合し、日本の詩のアイデンティティが確立する時代。76篇収録。

はしがき 1 矢田部良吉(やたべりょうきち)訳 グレー氏墳上感懐(ふんじやうかんくわい)の詩 『新体詩抄』 10 外山正一(とやままさかず) 抜刀(ばつたう)隊 『新体詩抄』 12 新声社(しんせいしゃ)訳 ミニヨンの歌 「於母影」 14 花薔薇(はなさうび) 「於母影」 17 国木田独歩(くにきだどっぽ) 山林に自由存(そん)す 『抒情詩』 19 島崎藤村(しまざきとうそん) 潮音 『若菜集』 22 初恋 『若菜集』 24 土井晩翠(どいばんすい) 星落秋風五丈原(ほしおつしうふうごぢやうげん) 『天地有情』 27 荒城の月 『中学唱歌』 29 与謝野鉄幹(よさのてっかん) 人を恋ふる歌 『鉄幹子』 32 島崎藤村(しまざきとうそん) 小諸(こもろ)なる古城のほとり 『落梅集』 35 椰子(やし)の実 『落梅集』 38 与謝野晶子(よさのあきこ) 君死にたまふことなかれ 『恋衣』 41 上田敏(うえだびん)訳 落葉(らくえふ) 『海潮音』 46 わすれなぐさ 『海潮音』 49 山のあなた 『海潮音』 51 春の朝 『海潮音』 53 薄田泣菫(すすきだきゅうきん) ああ大和(やまと)にしあらましかば 『白羊宮』 55 森鷗外(もりおうがい) 扣鈕(ぼたん) 『うた日記』 58 蒲原有明(かんばらありあけ) 智慧(ちゑ)の相者(さうじや)は我を見て 『有明集』 61 茉莉花(まつりくわ) 『有明集』 64 北原白秋(きたはらはくしゅう) 邪宗門秘曲 『邪宗門』 67 空に真赤な 『邪宗門』 70 意気なホテルの 『思ひ出』 72 永井荷風(ながいかふう)訳 そぞろあるき 『珊瑚集』 74 無題 『珊瑚集』 77 石川啄木(いしかわたくぼく) はてしなき議論の後 『啄木遺稿』 80 ココアのひと匙(さじ) 『啄木遺稿』 83 飛行機 『啄木遺稿』 86 北原白秋(きたはらはくしゅう) 片恋 『東京景物詩及其他』 88 あかい夕日に 『東京景物詩及其他』 90 福士幸次郎(ふくしこうじろう) 自分は太陽の子である 『太陽の子』 92 高村光太郎(たかむらこうたろう) 根付(ねつけ)の国 『道程』 96 冬が来た 『道程』 98 道程 『道程』 101 北原白秋(きたはらはくしゅう) 薔薇二曲 『白金之独楽』 103 ビール樽 『白金之独楽』 105 山村暮鳥(やまむらぼちょう) 風景 『聖三稜玻璃』 107 萩原朔太郎(はぎわらさくたろう) 竹 『月に吠える』 111 蛙の死 『月に吠える』 114 猫 『月に吠える』 116 田舎を恐る 『月に吠える』 118 千家元麿(せんげもとまろ) 雁 『自分は見た』 121 室生犀星(むろうさいせい) 小景異情 『抒情小曲集』 124 寂しき春 『抒情小曲集』 129 堀口大学(ほりぐちだいがく) 夕ぐれの時はよい時 『月光とピエロ』 131 西條八十(さいじょうやそ) かなりや 『砂金』 136 佐藤春夫(さとうはるお) 水辺月夜の歌 『殉情詩集』 139 海辺の恋 『殉情詩集』 141 少年の日 『殉情詩集』 144 秋刀魚(さんま)の歌 『我が一九二二年』 147 佐藤春夫(さとうはるお)訳 つみ草 『我が一九二二年』 152 高橋新吉(たかはししんきち) 49[皿] 『ダダイスト新吉の詩』 154 北原白秋(きたはらはくしゅう) 落葉松 『水墨集』 157 露 『水墨集』 162 知里幸恵(ちりゆきえ)訳 梟(ふくろふ)の神の自ら歌つた謡(うた) 『アイヌ神謡集』 164 宮沢賢治(みやざわけんじ) 序 『春と修羅』 169 永訣の朝 『春と修羅』 175 鈴木信太郎(すずきしんたろう)訳 都に雨の降るごとく 『近代仏蘭西象徴詩抄』 181 山村暮鳥(やまむらぼちょう) 春の河 『雲』 184 おなじく[雲] 『雲』 186 北川冬彦(きたがわふゆひこ) 瞰下景(かんかけい) 『三半規管喪失』 188 八木重吉(やぎじゅうきち) 草に すわる 『秋の瞳』 190 萩原朔太郎(はぎわらさくたろう) こころ 『純情小曲集』 192 旅上 『純情小曲集』 195 利根川のほとり 『純情小曲集』 197 小出新道(こいでしんどう) 『純情小曲集』 199 堀口大学(ほりぐちだいがく)訳 ミラボオ橋 『月下の一群』 201 地平線 『月下の一群』 205 シヤボン玉 『月下の一群』 207 耳 『月下の一群』 209 佐藤春夫(さとうはるお) 海の若者 『佐藤春夫詩集』 211 北川冬彦(きたがわふゆひこ) 椿 『検温器と花』 213 平原 『検温器と花』 215 ラツシユ・アワア 『検温器と花』 217 吉田一穂(よしだいっすい) 母 『海の聖母』 219 詩人紹介 221

西原 大輔 1967年(昭和42年)、東京に生まれる。 1989年(平成元年)、筑波大学比較文化学類卒業。 1996年(平成8年)、東京大学大学院総合文化研究科満期退学。 シンガポール国立大学、駿河台大学を経て、現在、広島大学大学院教授。学術博士。 著書に『谷崎潤一郎とオリエンタリズム』(中央公論新社、2003年)、『橋本関雪』(ミネルヴァ書房、2007年)、詩集『赤れんが』(七月堂、1997年)、『蚕豆(さんとう)集』(七月堂、2006年)、『美しい川』(七月堂、2009年)、『七五小曲集』(七月堂、2011年)、『掌(てのひら)の詩集』(七月堂、2014年)。

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